転車台

杉下先生の「ふるさと鉄道の復興再生について」を読んで
      
2024/2/15  
杉下先生応援団  原 彰  

 杉下先生は名城大学の同僚であり、名城大学の運営に一緒に汗を流した仲間で、それ以来、名城大学退職後も密接に連絡を取りながら、少なくとも1年に一度は食事会で顔を合わせている。杉下先生は私にはない、強い郷土愛の持ち主である。それは半端ではなく、杉下先生の故郷に関わる著書や寄稿文をいくつも読ませてもらっている。私は、杉下先生の故郷、熊本県の隣の宮崎県出身であるが、恥ずかしながら故郷の延岡にいささかの愛着も回顧趣味ももっていない。
 今回の報告は2020年の熊本豪雨によって被災して休止状態になっている肥薩線およびくま川鉄道の復興再生への提言である。杉下先生の復興案は休止状態にある鉄道線のみならず、鹿児島、宮崎を加えた広い範囲を包括的に捉えての提言であり、鉄道網に加えて肥薩線沿線の活性化の道筋を示している。故郷の活性化は以下の文に集約されているので引用したい。

 再生の基本は沿線流域の活性化であります。働く場所があり、学ぶ場所があって、人口が増え、治山治水や自然保護が行き届き、住環境が整い、老後の安寧や安心して子育てできる市や町や村を作ることこそ永続的肥薩線再生策の根幹であります。

 この短い文章に示された方策を、関連する自治体がその特徴に応じて肉付けをしていけばよいということになるが、杉下先生は肥薩線沿線の具体的活性化策として、「九州かっぱサミット」と「熊襲国サミット」を挙げられています。「かっぱサミット」は15回も開催されているとの事、私は聞いたことがなかったのですが、他に「河童連邦共和国」を名乗る団体もあるようで、協働できるようになれば大きなイベントになりそうですね。日本人は余り日本人のルーツについて語らないようですが、「熊襲サミット」も面白そうですね。古モンゴロイドとして近い関係にあるアイヌの活動団体との連携があればより一層発展しそうですね。
 私も地域活性化の提言を行いたいのですが、生憎、肥薩線やくま川鉄道沿線へ立ち寄ったことがなく、杉下先生の著作等から知るだけなので、見当違いなことを述べることになるかも知れませんのでお許しください。私の活性化案は以下の3点です。

 1.農・畜産業の拡大発展を図り、若者に託す

 日本はエネルギー、食料品価格の高騰にあえいでいます。その原因はエネルギー資源や食料自給率の低さによる日本の弱点にあります。この弱点は、自然災害や世界の軍事衝突などの有事ごとに発生する厄介物ですが、長い間克服できていません。このうち食料自給率については農業の振興が必要ですが、農業には今追い風が吹いています。農業後継者が不足し世代交代が必要であること、政府の補助金があること。最近10年以上に渡って農産物の輸出額が増加していることがあり、若者に農業へ従事してもらうための優遇策が地方においても示されています。農業の特産物を生み出すことも課題だと思います。

 2.外国人観光客の増加を図る

 コロナ禍により大きな痛手を負っていた観光業にも漸く復興の光が見えますが、外国人観光客の訪問先に異変が起きています。すなわち、外国ではいわゆる観光地ではなく、山口県や岐阜県などが脚光を浴びているようですが、これは外国人が混みあった観光地よりも、地方の日本の文化や地方での生活体験、民宿等を好むようになったためだと思われます。人吉球磨地方は、平成27年に文化庁が取り組んだ、日本遺産(日本でもっとも豊かな隠れ里-人吉球磨地方)として、最初に認定されていますので、これを利用しない手はありません。素晴らしい自然遺産を世界へ発信しましょう。

 3.当該行政機関へのITに強い若者の採用と活躍の場提供

 農業へのITの利用や特産品の紹介などには、今や農業の振興に欠かせないツールです。外国人への観光地の紹介などはホームページだけではなく、SNSやYou Tubeなどが極めて有効な手段です。これらのITに関わる若者が活躍する環境の整備は複雑な過程が必要ではありませんので、行政機関がやる気があればすぐにでも実行できると私は思います。

 この3点は、杉下先生が書かれた沿線流域の活性化を補足するものだと思って書かせていただきました。

   
戻る | 次へ