転車台
ふるさと鉄道の復興再生について
      
2024/2/7  
あさぎり町中部ふるさと会顧問      
杉下潤二 jun2415@m6.cty-net.ne.jp  

  ― ふるさと鉄道とは、JR肥薩線とくま川鉄道湯前線のことです。これらの路線の復興再生策
  に対して、わたしは以下のような考え方しています。皆様のご意見をお聞かせください ー

1.ふるさとの鉄道は古代歴史ロマンの里を走る

 図の太い赤線は、肥後の八代から人吉、薩摩の吉松を経て隼人に至る124Kmの肥薩線であります。明治42年に全通し、昭和2年(1927)まで九州縦断の鹿児島本線でありました。肥薩線はまた、古代歴史ロマンの路線でもあります。八代から隼人に至る間の点線の赤丸域は、3世紀の魏志倭人伝(ぎしわじんでん)にある「狗奴国(くなこく)」に相当し、古事記や日本書紀にある「熊曾国」や「熊襲国」、筑前風土記にある「球磨囎唹(くまそお)」地方でありました。狗奴国は、女王卑弥呼(ひみこ)の邪馬台国と常に対峙し、最後まで独立と文化を保った国であり、この狗奴国が熊曾や熊襲や球磨囎唹地方であることは多くの歴史学者の認めるところであります。

 もっと古い縄文時代、この地域は南方からの移住者の定住域でもありました。縄文から弥生時代にかけての遺跡が志布志から曾於地方にかけて密集し、その分布は肥薩線ルート沿いに北上して人吉・球磨盆地に達し、球磨川沿いには今もこれらの遺跡があります。したがって、肥薩線の復興再生は、これらの古代歴史ロマンの里であることを加味した提案が共感を呼ぶものと思います。

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熊襲国を走る肥薩線

2.ふるさと鉄道復興再生策の基本
 2.1 肥薩沿線地域(くまそ国地域)の活性化
  2020年7月の熊本豪雨によってふるさとの鉄道は被災し、くま川鉄道湯前線は一部開通しましたが、八代~吉松間の87Kmが運休状態となっています。筆者もそうでしたが、この地域の人たちの多くは、熊本や福岡、大阪や名古屋、それに東京など北東を目指して故郷を離れました。働く場所や学ぶ場所、それに華やかな都会があったからです。その結果、この地方の過疎化も進み、さらにモータリゼーションによって鉄道利用者は激減し、JR九州路線の多くは赤字となっています。豪雨水害前の2019年度の調査によりますと、肥薩線(八代~隼人間)の乗客数は1日あたり1125人、損益は、約12億6千万円の赤字です。地域過疎化のまま肥薩線が復興再生した場合、自治体は税金を使って補填支援を続けることになりますが、そのような再生策は長続きする将来計画とは言えず、抜本的再生策を構築する必要があります。

 2023年には肥薩線復旧の在り方について、国交省、熊本県及びJR九州の三者による会議が開催され、観光を軸の復興計画案が検討されました。人吉市の統計によりますと、平成23年度の人吉への観光客は120万人、その84%は車での来訪者であり、肥薩線利用ではなかったのです。観光が軸であれば、肥薩線の魅力アップ策も示されなければ「仏作ってまなこを入れず」になります。幸い、熊本県、鹿児島県、宮崎県の関連16市町村で構成する肥薩線利用促進・魅力発信協議会も開催され、行政による復興計画が具体化してまいりましたが、再生の基本は、沿線流域の活性化であります。働く場所があり、学ぶ場所があり、遊ぶ場所があって人口が増え、治山治水や自然保護が行き届き、住環境が整い、老後の安寧や安心して子育てきる市や町や村を作ることこそ永続的肥薩線再生策の根幹であります。

 具体的な活性化策やイベント行事はどのようなものがあるでしょうか。相良村に参考にすべきユニークな取り組みがあります。それはに示すような、村が毎回出席している「九州かっぱサミット」です。この河童サミットは平成19年から開催され、今年は15回目、来年は御船町で開催されるそうです。ユーモアとパロディーをテーマに関係市町村の長が集まり、各かっぱ国の名物・名産が並び、伝統芸能の披露などイベントが開催され、まちづくりや活性化のヒントを得る場や協調の場となっているそうであります。

かっぱ
第15回九州かっぱサミットin川辺川     開催記念の河童像と碑

 筆者はかって、熊襲研究会でも「熊襲国サミット」の提唱をし、曽於市の市長さんにも、立ち話ではありましたが提案したことがあります。女王卑弥呼の邪馬台国がブームになって久しいのですが、熊襲国が話題になることはほとんどありません。それは、日本武尊(やまとたけるのみこと)の熊襲征伐神話などによって「熊襲」は逆賊というイメージを植え付けられたからであります。逆賊とは、時の政権の大和朝廷に従属せず歯向かったという理由でしたが、それが戦中の天皇中心時代まで引き継がれてきたわけです。しかし熊襲国は邪馬台国に常に対峙して、独立と文化を守った国であり、恥じる国ではないのです。

 宮崎県都城市の諏訪神社には今も「熊襲踊り」が伝承されていて、その起源は熊襲のレクイエム(鎮魂歌)とされています。鹿児島県にも「バラ太鼓踊り」や「漆(うるし)バラ踊り」などがあります。これらをルーツにした臼太鼓踊りが熊本県球磨地方や宮崎県西都地方など南九州の「臼太鼓踊り」であり、その伝承分布は熊襲国域と一致しています。このような古代歴史ロマンをキーワードに、くまそ国地域の自治体が一堂に会して肥薩沿線域の活性化を図ることこそ未来へ繋がるふるさと鉄道再生の基本策であると考えます。


 2.2 ふるさと鉄道の魅力アップ策と延伸利便策
 1) 現肥薩線の延伸と利便化
 かつての「いさぶろう」や「しんぺい」号の発着駅は吉松駅までであり、隼人駅までは行きませんでした。上りも隼人からではなく吉松からでした。これでは日豊線から乗り継ぐ乗客には不便であります。この「いさぶろう」号は観光特急なのに、なぜ隼人まで行けなかったのか、「しんぺい」号は、なぜ吉松発なのか、吉松~隼人間の乗客数もはるかに多いのに、なぜ隼人発ではなのか、その理由は、吉松駅が管轄の境界だったからだそうであります。

 さらに新幹線との接続でも、下り方面では、新幹線で新八代駅に降りても肥薩線への乗り換えができず、八代駅までの接続列車を待たねばなりません。上りも同じく、新幹線の停車駅は次の駅なのに、八代駅で乗り換えなくてはなりません。また新八代駅は、新幹線も在来線も同事業者でありながら、それぞれ別個の駅舎であり、両線の乗換改札口はなく、乗り換えの際はいったん改札を出る必要があって、利便性に対する配慮のない線路となってしまいました。 新幹線計画時の新八代駅設置に際して、肥薩線の発着駅を新八代駅になぜ変更しなかったのか、これも路線管轄の問題なのでしょうか。管轄下であるか否かは乗客の利便性を超えるものではなく、抜本的再生策を考える場合はそれらの事情を払拭しなければならないと思います。

 昭和55年(1980)から昭和61年(1986)頃までは、門司港や博多から湯前まで乗り換えずに行き来ができました。それが「くまがわ」号です。昭和61年頃のダイヤでは、特急「くまがわ」は博多駅を14時23分に発車、熊本駅に着いて急行に変わり、肥薩線を走って人吉駅に到着しました。ここからは普通列車となり湯前線を走り夜には終点の湯前駅に着けました。上りの場合も湯前から博多まで乗り換えなしで行けたわけです。新幹線の開業にともなって、このような列車やダイヤは不要になりましたが、新幹線と在来線の接続や利便性は絶対的な不易要素であります。

そこで、肥薩線の延伸による利便策の提案です。をご覧ください。
 ・一つ目は、
  (熊本)~新八代~人吉~吉松~隼人~(鹿児島)の「球磨川霧島線」としての再生です。
 ・二つ目は、
  (熊本)~新八代~人吉~吉松~小林~都城~(宮崎)の「球磨川高千穂線」です
 理想は、熊本から肥薩線経由の鹿児島や宮崎行きの特急ですが、「熊本」や「宮崎」及び「鹿児島」に( )が付してあるのは理想案で、隼人駅や都城駅は日豊本線ですから、鹿児島へは隼人で、宮崎へは都城で乗り換えが可能だからであります。同じように、上りの終着駅も熊本ではなく、新幹線駅の新八代駅でもよいという意味であります。
新線

 2023年12月の読売新聞や宮崎日日新聞の報道によりますと、宮崎県の河野知事は、九州新幹線の新八代駅と宮崎をつなぐ新幹線の整備構想を具体化させるための調査費を計上する方針を明らかにされました。新八代から宮崎への最短は、五木・山江・相良の山村境界にある仰鳥帽子山(のけえぼしやま)を結ぶ線、または九州自動車道えびのJCTからの宮崎道でありますが、沿線自治体の願いは肥薩線や吉都線沿いでありましょう。

 余談ながら、この構想を聞いた筆者は、「ヨケマン談義」6.「人妻線構想があった話」を思い出しました。
「人妻線」とは、当時の湯前線人吉駅から宮崎県の妻線を結ぶ戦前の路線敷設計画のことです。この構想は、国が建設すべき鉄道路線を定めた法律、鉄道敷設法に基づくもので、湯前線を延伸して宮崎県の妻線(当時の佐土原駅~杉安駅)を結び、西都原を経て宮崎に至るというものでありました。この工事は中断され実現することはありませんでしたが80数年を経たいま、似たような構想がでてきたことは感無量であります。

 2) 延伸線の名称と夢の鹿児島空港線
 まず延伸肥薩線の別称についてですが、これまでの肥薩線では、八代~人吉間を「川線」、人吉~吉松間を「山線」と呼んでいますが、これが提案のような、新八代~人吉から吉松~隼人間に延伸された場合は、肥後と薩摩を結ぶこの線路は、まとめて「球磨川桜島線」や「球磨川霧島線」と呼ぶのがふさわしいと考えます。
 これは夢想かも知れませんが、熊本空港に先例がありますように、地域の活性化は空港の恩恵が大きく、空港に近いことは輸出企業の立地に有利であります。鹿児島空港は現在の肥薩線の嘉例駅や表木山駅から西へたった約2kmの近くにあります。このあたりの標高は約200mで、嘉例駅から表木山駅を結び、空港の北の約6キロ平方メートルであります。将来、この低山地の域が整備され、用地化されて、路線名も「球磨川鹿児島空港線」なる日を夢見ています。
 肥後と日向を結ぶ新八代~人吉~吉松~えびの~小林~都城間は「球磨川高千穂線」や「球磨川宮崎線」としてはどうでしょうか。

 3) 忌み嫌われる列車トンネルの活用
 肥薩線はトンネルの多い路線で60近くあると言われています。気密性に乏しい昭和30年代の客車では、隙間から入る煙煤(えんばい)が白いシャツの袖口や襟元に付着し、鼻汁も黒ずんでいて、名古屋駅のホームに着けばずらっと並んでいた洗面台で顔を洗っていました。このように当時のトンネルは忌み嫌われていたのですが、これを逆手に肥薩線の特徴として売り出してはどうかとの提案です。例えば、川線の白石~球泉洞間にある告(つげ)トンネル(926m)や山線の矢岳第一トンネル(2096m)などで、通過時間帯は車内を消灯して真っ暗にし、天井にイルミネーションなど光の演出を行うのです。すでに新潟県上越市の犀潟駅から十日町間を走る北越急行・ほくほく線「ゆめぞら」号では、五つの映像がトンネル走行時に上映され、「トンネルに入ると客が喜ぶ電車」となっています。下図がその二つの映像例です。

トンネル内
ほくほく線「ゆめぞら」号の車内映像

 もう一つの肥薩線の特徴は、スイッチバック箇所が二箇所もあり、ループ線もある急峻な山登り路線であり、 難工事路線でありました。特に矢岳トンネル工事は、現代の黒四ダムトンネルや青函トンネル工事に匹敵するほどの難工事であり、犠牲者が多かったと伝えられており、大畑駅近くには「鉄道工事殉職病没者追悼記念碑」が建てられています。急勾配のために列車速度は遅くなります。この低速登坂走行を乗客に体感してもらい、矢岳トンネル走行時には難工事の映像を投影することも一興(いっきょう)かと思います。

 4) 人と自転車混載のサイクルトレイン
 サイクルトレインとは、鉄道と自転車を組み合わせたレジャーお出かけスタイルの線路活用策の一つです。通勤通学でも可能なスタイルですが、ラッシュ時の自転車の積み込みは問題も出てくるので、レジャーでのお出かけスタイルの方が可能性高いと思います。2021年のサイクリスト調査によりますと、直近の1年以内にサイクリングに出かけた人口は1350万人だったそうです。このような世の動向に沿う形で、我が国のサイクリングロードも着々と拡充しています。人吉球磨地方では、えびの高原から矢岳高原にかけてサイクルロードがあり、人吉から湯前間の球磨川沿いには約30キロのサイクリングロードが完備しています。車もすれ違うこともなく、安心して球磨川沿いの風景を堪能しながらサイクリングしている若い人が増えているとのことです。また、人吉球磨地方景勝地巡りの足としてもサイクリングの需要度は増してきています。

 近鉄は令和2年より、追加料金なしで、自転車を解体せず普通列車に持ち込むことができる「サイクルトレイン」の仕組みを導入しました。区間は松阪~賢島間が対象で、平日は午前9~午後3時台の五十鈴川~賢島間のみですが、特急では、自転車を折りたたみ輪行袋に収納すれば常時可能とのことです。滋賀県の近江鉄道や群馬県の上毛(じょうもう)電鉄でも自転車持ち込みは無料です。
 岐阜県飛騨市神岡町の旧神岡鉄道では、廃線路を利用してマウンテンバイクを連結した「ガッタンゴー」があり、観光客に大変な人気だそうです。下図は、列車不通時間帯を利用して線路活用を試みているくま川鉄道の「くまチャリ」です。もう一歩進めて、自転車の持ち込みを肥薩線やくま川鉄道でも、持ち込み時間帯を設けて、検討してみては如何でしょうか。

くまチャリ
くま川鉄道の「くまチャリ」

 5) 普通列車とトロッコ列車の「混走」
 豊肥線の立野から高森間を走る南阿蘇鉄道というのがあります。トロッコ列車で有名なのは黒部峡谷トロッコ電車や保津川沿いを走る嵯峨野トロッコ列車ですが、この南阿蘇鉄道路線では、に示すような普通列車とトロッコ列車が走っています。普通列車が日に上り下りとも10本、トロッコ列車が3本、予約制で走っています。こんな用語はないかもしれませんが、普通列車とトロッコ列車が同一路線を走る「混走」鉄道です。
南阿蘇鉄道
南阿蘇鉄道のトロッコ列車                普通列車

 群馬県のJR桐生駅から栃木県日光市の間藤(まと)駅間の渡良瀬川の渓谷を走るわたらせ渓谷鉄道も普通列車とトロッコ列車が走っています。先に、これからの鉄道は人や物の「混載」も一考に値すると書きましたが、これらの鉄道は、普通列車とトロッコ列車の「混走」で、今後の輸送と観光兼ねた路線の在り方として選択肢一つとして考えられます。肥薩線も球磨川沿いを走る列車であり、急峻な矢岳越えする列車であります。
 人吉の観光目玉、球磨川下りの平成30年の乗船客数は約27000人、現在、運行コースは短縮されていますが、復旧後はラフテイングとあわせて球磨川急流の醍醐味をともに体感してもらうべきであります。そのためにも肥薩線と連携し、下りは舟で、上りはトロッコ列車で人吉に帰るようにすれば、車の利用者にも便利な企画となるはずであります。ぜひ、トロッコ列車の運行や普通列車にトロッコ車両の連結を試みるべきと考えます。


 6) ダイヤ空き時間帯を利用した線路の活用
 朝夕を除いたくま川鉄道湯前線、平日の肥後西村~湯前間における列車不通の時間帯は8時20分頃から15時50分頃まで、約7時間30分あります。祝祭日は8時20分頃から11時20分まで約3時間あります。この時間帯を利用して線路を活用してはという提案です。肥薩線は豪雨被災前の時刻表では、不通時間帯は、早朝や夜間を除くと1時間ほどしかなく、これまでのダイヤでは線路の活用は無理かと思われます。しかし再生案には、このような線路の活用策を練れば収支の改善寄与の一助になると思います。すでにこの列車不通時間帯を利用した鉄路の活用策はあちこちで始まっていまして、先に紹介しましたように、レールの上を2台の自転車を連結して人力でこぎながら走るくま鉄湯前線のレールサイクル「くまチャリ」もそうです。
 宮城県登米(とめ)市では、市バスやスクールバスなどの空き時間帯を利用して、住民の病院通いや買いもの便として利用しているとのことです。この場合は車両の活用であって路線は公道ですから、線路とは異なりますが、施設備の有効活用という観点は同じであり、参考になります。トラック輸送2024年問題解消のためにも、いまや鉄道は貨物輸送や貨客混載を目指すべきであります。


 2.3 マイレール意識の普及によるふるさと鉄道支援活動
 マイレールとは、平成12年(2000)に鉄道事業法が改正され不採算路線からの撤退が容認されたことで、日本の各地で起こった路線存続のための運動のことです。どんな意識かというと、自ら地域の鉄道を守り育てていくという意識です。地元住民が「ふるさと鉄道」を「自分たちの鉄道」と位置づけ、通勤や通学及びレジャーの足としてだけでなく、鉄道会社と協調しながら見守り支援していくことです。具体的活動として、例えば駅舎周りの清掃、駅舎をコミュニティプラザとして、朝市や夕市の場として活用していくことも考えられます。
 下図にも示しましたが、人吉では肥薩線を支える会などによる除草活動や地元自治会の清掃、及び球磨工業高生の自転車置き場整理活動などがあり、さらに、くま川鉄道あさぎり駅では、南稜高校生による花プランター設置の様子が報じられていました。人吉高校や球磨中央高校も地域協同プロジェクト事業を展開し「協同の精神」である「結い(ゆい)」、「ハジアイ(支え合い)」、「かちゃあ(助け合い)」を活かしたマイレールなど地域活性化に貢献するとのことです。令和3年(2021)11月の熊日新聞によりますと、熊本県立大生がくま川鉄道支援ボランティア活動として、おかどめ幸福駅と湯前駅の清掃活動を行ったとの記事もありました。令和5年(2023)10月には肥薩線の復興を願って、坂本町のボランティアによる線路の除草作業が行われました、このような活動はほとんどの駅や線路で行われており、沿線住民のマイレール意識は高まっています。

 
清掃活動
沿線住民によるくま鉄湯前線の清掃活動(人吉新聞)

 このような住民や自治体の意向に沿うような形として、たとえば、長野県の上田電鉄(上田~別所温泉)は割引率の高い回数券「マイレールチケット」を売り出し、岐阜県大垣市の養老鉄道(桑名~養老~大垣~揖斐)のマイレールチケットは池田町が助成することになったそうであります。


 2.4 2024年問題対処のためにもくま川鉄道と肥薩線の連携が必要
 貨客混載や貨物列車の編成や運行は2024年問題対処策として重要であります。この2024年問題といいますのは、周知のことかと思いますが、2024年からトラックドライバーの時間外労働時間の上限規制がなされ、労働時間が短くなることによって輸送が不足し、運ぶモノの量が少なくなる問題のことです。そこで見直されているのが鉄道輸送であります。人吉球磨地方は、熊本県の市町村地域別森林面積では阿蘇地方の倍近く広く、断然トップであり、木材供給事業者が最も多い地方なのです。2024年問題対処のためにくま川鉄道と肥薩線の連携活用を図る必要があります。


 2.5 肥薩線の復興再生策・まとめ
 前述のような新八代~宮崎新幹線構想があることも含めた肥薩線の復興再生策も考えられますが、さしあたり、議論の的であるふるさと鉄道の自立的復興再生策をまとめると以下の通りです。
 1.自立的持続的再生の基本は、安全な球磨川づくりと沿線地域の活性化である。
 2.接続や路線延伸による乗客の利便性向上が最も重要である。
 3.多トンネルや山岳路線である肥薩線の特徴を生かした増益策の検討が必要である。
 4.サイクルトレインやダイヤの空き時間帯利用による線路の活用策を講じるべきである。
 5.マイレール意識の普及に努め、真のふるさと鉄道となるよう協調していく必要がある。

皆様のご意見をお待ちしております。


 皆様からの復興アイデアは、以下のアドレスにお寄せください。頂いたアイデアは、次ページ以降に掲載します。
  管理人:star.kanri_@asagiri.conf.jp
  杉下様:jun2415@m6.cty-net.ne.jp


 次ページに、名城大学名誉教授 原 彰 様からの提案が有ります。


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