深田 上 免田 岡原 須恵

ヨケマン談義11. 昔懐かしふるさとの味

11-7. 「ダゴ汁」と「つぼん汁」

 は、「ダゴ汁」と「つぼん汁」である。見た目にはよく似ていて、左の「ダゴ汁」には「ダゴ」が入っている。薄っぺらなものが見えているが、これは小麦粉を水で溶き、練って薄く延ばしたものである。いずれも人吉・球磨地方の郷土料理であるが、年配の方にとっては「ダゴ汁」の方が懐かしいかも知れない。それは食べ物がなかった戦中戦後の食糧難時代に食べた、いや、食べさせられたものだからである。

ダゴ汁 つぼん汁
図1. ダゴ汁 図2. つぼん汁

 「つぼん汁」は、今から15年ほど前から、人吉球磨地方の郷土料理を生徒にも知ってもらおうと小学校で調理実習となったものである。そんな理由から「つぼん汁」は比較的若い人のふるさとの味となっている。あさぎり町出身で、新潟在住の由美さんもその一人で、この「壷ん汁」 が懐かしいという便りをいただいた。この「つぼん汁」の「つぼん」の意味は、「壷の」の意味で、蓋のある椀のことだそうである。
人吉球磨地方では、「の」を「ん」と発音することばが沢山あることを中部ふるさと会の「クマんモン」のページで紹介した。「五木の子守歌」 ・♪ よかきも、、、 の「ん」「の」だから「きもの」となる。この「つぼん」の「ん」もその例で、この地方の食べ物であることに証明している。

 筆者は帰省のたびに、球磨地方の「味噌汁」は具だくさんだなあ!といつも思っていたが、そのルーツは、「つぼん汁」や「ダゴ汁」にあるのだろうか、いや、その逆だろうか。具だくさんの背景には、米や麦などの穀類や動物性たんぱく質が十分でなかった時代、根菜類で胃袋を満たしていた頃の名残りであろう。




(編者追記):我が家でも「ダゴ汁」はよく食べていて、その中には「煮干し」も入っていたのを覚えているが、その煮干しのことを次ページにある「ダシゴ」と呼んでいたのかどうかは定かではない。
「ダゴ汁定食」は、数年前までは、薬師温泉ヘルシーランドの食堂で食べることが出来たが、今はなく、「球磨焼酎・松の泉」のレストランで提供されているそうだが、未だ足が向いていない。残念!


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