11-21. ポンポン菓子(ポン菓子)
「ポンポン菓子(ポン菓子)(図1)が懐かしかとう!」と言われるのは、あさぎり町の綾さんである。ポン菓子(ポンがし)、ドン菓子(ドンがし)とは、米などの穀物に圧力をかけた後に一気に開放することによって膨らませた駄菓子の一種、ポンポン菓子・パンパン菓子ともよばれる。
専門用語では膨化食品(ぼうかしょくひん)穀類膨張機と呼ばれる機械(図2)を使用し、その回転式筒状の圧力釜に生の米などを入れ、蓋をして密閉し、釜ごと回転させながら加熱。釜の中が十分加圧(10気圧程度)されたら、圧力釜のバルブをハンマーで叩いて蓋を解放し、一気に減圧する。この時、原料内部の水分が急激に膨張し、爆裂音を伴いながら釜から内容物が勢い良くはじけ出る。このため、機械に受け用の網籠を取り付けてから蓋を解放する必要がある。発生する音から「ポン菓子」または「ドン菓子」と呼ばれるようになった。
図1. ポン菓子 |
図2. ポン菓子機 |
この膨化過程で、米の場合には元の10倍程度にまで体積が膨らみ、サクサクと軽い食感の菓子になる。形状は原料をそのまま大きくした形で、味や食感はシリアル食品に近似している。通常はこれに煮立てた砂糖蜜を絡め、粉砂糖などをまぶして甘味をつけて食べる。あらかじめ米に食紅をつけておくことにより、赤いポン菓子を作ることもできる。使用する米については、米の含水量の関係で、新米よりも古米や古々米を使用した方が、食感や味に優れたものができるとされる。
大正から昭和中期頃までは、定番の菓子として子供に人気があった。今のポン菓子機はプロパンガス加熱だが、昔は図2に示すように、焚き物加熱(焚き物加熱式穀類膨張機)だった。